マンション投資・不動産投資のリスクとは?

マンション投資を考えるに際してリスクの事を忘れる訳にはいきません。
本項ではマンション経営の代表的なリスクの内容について解説していきます。

マンション投資をする上で起こりうる代表的なリスクは9種類あり、その回避方法は主に3つに分けられます。

【購入前の立地・物件選びで回避】
●空室のリスク ●家賃下落のリスク ●資産価値・売却価格下落のリスク
●流動性の低さ ●老朽化のリスク

【保険・保証で回避】
●災害のリスク ●家賃滞納のリスク

【購入後の運用で回避】
●金利上昇のリスク ●賃貸管理会社倒産のリスク

空室リスク

細かに解説してみます。

マンション投資では賃借人が入居してくれて始めて賃料が発生します。

入居が付くかどうかは需要と供給のバランスで決まりますので住みたい人のいない地域に物件を買っても、借りてもらう事は出来ません。他にも周りの相場賃料と比べて高いのか安いのか、部屋は広いのか狭いのか、屋内設備が古い、駅から遠いなど借りる要因は多岐に渡ります。

それらを踏まえた上で計画的に物件選定する必要があります。

賃貸付け、客付けにはシーズンの繁忙期があり1~3月は4月を迎えて人の移動があるため繁忙期となります。対して7、8月が閑散期となりこの時期は他人の動きが少なく、賃貸が付きにくい傾向にあります。

対策としては賃借人に選ばれる物件を購入するという事です。

基準は駅から近く、便利な街にあり、賃借人の希望する室内環境が整っている事が求められます。コロナ以降居室の広さは25㎡以上に人気が出ています。自炊率が上がり、システムキッチンも2口コンロが求められ、自宅から駅までの導線上で買い物が出来る事なども人気の要因です。

長期的に見て今後も賃貸ニーズが期待できるかがマンション投資をするうえで大切なことです。

サブリースなどの契約を利用して保証賃料としてリスクを回避する手法もありますが、サブリース契約は貸し方に有利とは限りませんので注意が必要です。

サブリースを結んでいる物件は売却時に懸念材料になってしまいます。サブリースを事業としている業者としてはサブリース契約を受けられる部屋が貸せる部屋と言う事ですから、サブリース契約を利用しなくても賃貸経営していけるはずです。毎月固定の金額を割高な手数料を支払うことになります。もちろん借入金額や借入期間によって、月々の支払額は違いますが、多くの場合サブリースですと収益性が悪くなってしまうことが多いので良く考えて対策する事が大切です。

賃料下落リスク

どんな物件も築年数が経てば賃料が下落する。そんな風に思われている節がありますが、東京ではこの限りではございません。

マンションの賃料下落の原因は建物の築年ではなく室内の状態で決まります。リフォームやリノベーション効果で室内が奇麗な状態であれば築年の経った物件でも高い賃料を維持出来ます。

賃料に関しても空室リスク同様需要と供給にて賃料が変動します。駅至近の便利な立地よりも駅から遠く、不便な場所の方が賃借人の人気が薄く、人気が無いという事は中々客付けが進まないので、賃料を下げて募集をしなくてはならないというサイクルで賃料が下落します。

立地以外にもバブル期に多く竣工された3点ユニットで15平米前後の狭小な部屋など建物の仕様によっても人気は変動します。
賃借人の好みは社会状況等の影響もありますので、なるべく普遍的な仕様の部屋を選ぶという事がリスクヘッジになると言えるでしょう。

他にもインフレやデフレの影響でも賃料は変化します。
ただし、これらは物価に連動しますので、大きなリスクと考えなくても良いでしょう。

物件価格の下落リスク

物件価格自体が下がる事もリスクの一つです。

2005年頃からワンルームマンションは価格の上昇が始まり、2022年の現在まで続いています。それ以前1993年頃にバブル崩壊があり、不動産価格は著しく下落しました。長い時間軸で見ると不動産価格は大きく上昇下落をしています。

これまではワンルームマンション人気により物件価格は上昇を続けてきました。それにより中古区分を購入すると場合によっては価格が上がりキャピタルゲイン(売却益)を得る事が出来る場合がありました。少なくとも価格は横ばいで推移し、必ずしも築年と共に価格が減少していく訳ではないのです。

物件価格が変動する要因の原則は需要と供給によるものなのですが、具体的に何が需給関係に影響を与えるのかというと、下記のような要因があります。

建築コストや人件費が高騰すると、供給数が限られると共に価格が高騰します。

他にも東京都内ではワンルームマンション規制と言われる行政の規制があります。この規制の概要は、マンション全部の部屋をワンルームとすることを許さず、何割かは家族向けの住宅を作りなさい、という規制です。この為ワンルームの開発土壌が他府県に比べると厳しいものになっています。都内の好立地が不足している事や、地価の高騰と併せる事で価格が高騰するケースに繋がります。

下落要因としては銀行の融資金利が引き上げられる事で融資金利と物件の利回りの差であるイールドギャップが取れなくなる事が挙げられます。イールドギャップが小さくなると不動産投資を考える人自体が少なくなるでしょうから、売買の出来高が減り、価格も下降していくのです。

銀行金利と不動産投資は切っては切れない関係です。
価格だけじゃなく、利益、出来高、全てに影響します。

下落のリスクへの対策も購入時に取ります。

物件価格の変動が大きいものほどリスクが高い事になります。都市部のワンルームマンションは比較的値動きが緩やかです。中でも駅至近や都心に近くなればなるほどリスクは低くなると言えるでしょう。

価格が下落し難い物件、つまり資産性の高い物件を選ぶ事が重要になります。

老朽化のリスク

建物は長く使ってくると老朽化してきます。

老朽化に伴うリスクでは設備の故障などによる修繕費が挙げられます。エアコンや給湯機が壊れれば買い替えなくてはならずこの負担はオーナーがしなくてはいけません。

中古の物件を買う場合このリスクは常に付いて回りますし、オーナーチェンジの取引では購入前に室内を確認する事もありませんので、注意が必要になります。

建物全体でも老朽化する事により大規模修繕を行う事になります。壁面を塗装したり、屋上防水工事などを施します。区分マンションでは大規模修繕の費用を修繕積立金という形で貯めていきます。

中古マンションでは経年が進むほど修繕が必要になりますから修繕積立金が上がっていくように出来ています。購入する段階で理解していないと思わぬ計算違いになりかねません。

対策としては修繕費がかかるという事を最初からシミュレーションする事です。
また購入前に物件の修繕積立金がしっかり貯まっているか、理事会や建物管理会社はしっかりしているかなども購入前に調べることができれば失敗するリスクを削減することができます。

そして、後述しますが、修繕が発生しても資金的に耐えられる環境を作っておく事が大切になります。

流動性のリスク

不動産は株やその他有価証券に比べて換金するのに非常に手間が掛かります。お金に戻したいと思った時に簡単に現金に出来ない事はリスクの一つと言えるでしょう。

不動産の売却には業者に買い取りをして貰うケースと、仲介で他の個人に買ってもらうケースと大きく2種類方法があります。

なるべく高い値段で売りたいと思うのが当然だと思います。その場合仲介業者に媒介を依頼して買い手を探して売却するという運びになります。

売りたいと考える人は誰でも高く売りたい訳ですから、売り物件を高くして買い手を募集します。買う方は安く買いたいのですから、安い物件を探しています。双方の思惑が合致して初めて売買が成立します。この事から媒介で売却する場合なかなか買い手が付かない事があります。早く売りたい場合等はこの点は懸念となってしまいます。

その点業者買い取りでは取引はスムーズです。売りたいと思った時に売れる事でしょう。ただし、業者の査定額は個人間取引よりも低い傾向がありますから、高く売却したい場合は思ったよりも安い売却額になるかもしれません。

対策としては資産性の高い物件を購入する。
物件評価の十分に出る物件を選ぶ。
価格の手頃な物を選ぶという事が挙げられます。

ワンルームマンションとファミリータイプのマンションで比べた場合どちらの方がより流動性が高いでしょうか。その分この点におけるリスクは低いと言えるのです。

災害のリスク

このリスクは台風による水害、地震による破損、津波、火災などの現象による被害を指します。
東京の地盤は武蔵野台地より東は海抜も低く脆弱と言われています。
物件を購入する前に行政の発行するハザードマップによりリスクを確認する事が出来ます。

そうは言っても水害等は東京では殆ど心配要らないとも言えるでしょう。都内を流れる荒川は人工の河であり、隅田川の氾濫に備えて荒川放水路として明治43年の明治の大洪水を受けて工事が始まりました。昭和5年の完成以降、荒川が氾濫した事はありません。隅田川も岩淵水門を閉じる事で荒川に水を流す事が出来るので、隅田川も心配要らない事でしょう。

2019年の令和元年東日本台風では多摩川の氾濫が報じられましたが、それをきっかけとして高機能堤防の工事が進んでおり多摩川流域も治水対策が進む事でしょう。

調整池の工事も進み、地下神殿として有名な「首都圏外郭放水路」など東京の治水対策は非常に進んでおり、東京が水害に弱いというのは過去の話を言えるかと思います。

かと言ってゼロではない、可能性は常にあり、対策は必要です。

リスクへの対策としては損害保険を活用します。今では地震保険もありますから、偶発的な事故の殆どは損害保険で対応出来ます。火災、盗難、飛来物、騒じょう、水害、地震と殆どの災害が付保されます。これら損害保険にてリスクに備える事が出来るのです。

賃料滞納のリスク

賃借人が住んでいると言ってもその人が賃料を払ってくれなくては利益になりません。賃借人が賃料を支払わないのもリスクの一つです。

マンション投資では賃借人が会社員である事が多く、金銭的なトラブルは少ない方です。このように誰に貸すのか?の段階からリスク対策をしておく事が重要になります。どうしても高齢者、非正規雇用といった所得があまり高くない社会属性の人に金銭的なリスクは集中してしまいます。そういう賃借人をターゲットにしなくてはならない賃料の低い物件で投資をしないという事が対策とも言える訳です。

現代の賃貸契約では殆どの賃貸契約で保証会社を入れており、賃借人が賃料を払えなくても保証会社が賃料を支払ってくれます。賃借人はオーナーの代わりに保証会社に賃料を支払います。督促等も保証会社が行いますので、所有者側のリスクは低いと言えます。ただし、賃料の延滞や、不払いがあるという事は退去時の退去費用が捻出出来なかったり、残置物が出たりといった事に繋がりますので、やはり入居者の属性は良いに越した事はありません。

金利上昇のリスク

日本は今非常に低金利であり、それが故に不動産投資のメリットが大きい訳ですが、その融資金利は上昇するリスクが常にあります。

金利が上昇すると調達金利が上がり、イールドギャップが狭まります。それはひいてはこれから買おうとする人たちを及び腰にしますし、CF(キャッシュフロー)の悪化にも繋がります。

購入時のシミュレーションでは当初金利で計算されており、金利の上昇を織り込んではいない事でしょう。金利が上がるかどうかは社会経済の影響をうけますので、上がるとも下がるとも言えるものではありませんが、上がる可能性がある事は認識しておくべきです。

対策としては金利が上昇してもキャッシュアウトされない事が大切です。キャッシュアウトというのは月間の収支がマイナスになってしまう事です。購入して物件をほったらかすのではなく、繰り上げ返済などで収支を良くしておく事で、運用全体でのマイナスを避けます。

金利が上昇して月間収支が悪くなっても黒字幅を大きくしておけば収益を生み続ける事は出来ます。金利上昇局面では賃料も上昇傾向にあり、マイナスにさえならずにいれば賃料の上昇で月間収支は戻っていく事もあるかと思います。

運用自体を再投資にて利益を積み上げマイナス要因が生まれても受け止められるようにしていく事が大切です。
現在は低金利時代です。金利が上昇する前に融資を組んで物件を購入することもマンション投資を成功する確率を上げる手段となります。

管理会社の倒産リスク

意外なリスクとして挙げられるのが管理会社の倒産です。
管理をお願いしている会社が倒産してしまうと、色々な問題が生じます。

先ず、家賃の入金が無くなる事です。賃借人は管理会社に入金していますが、そのお金が振り込まれてこなくなります。倒産してしまうと回収する事は難しいでしょう。

そして、敷金を預けている場合、これも回収出来ません。厳密には事例ごとに異なるのでしょうが、倒産した企業の資金は自由に動かせませんから、入金されないか少なくとも相当時間がかかる事になります。

そして、管理会社を新たに自分で探さなくてはならず管理手数料もかかる事になります。多くの場合購入した会社でまとめて管理をお願いしているでしょうから、管理も手数料で優遇されていたりするかもしれません。

それが通常の管理条件で探す事になるので多くの場合管理手数料が高くなる事でしょう。賃貸管理の業務は専門業者に頼む場合賃料の3%~5%かかりますので月間収支は悪くなると思って良いでしょう。


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